「エスノグラフィー」をご存知でしょうか?今、マーケティング等の分野で注目されている定性研究方法の一種です。
今回は、経験豊富な学者と実務家によるエスノグラフィーの現状解説だけではなく、参加者の方々からの「エスノグラフィーって何?」、「○○がわからないけど、どうしたらよいの?」といった疑問についた熱く語るワークショップです。
・日時:2018年9月30日(日)10:30-13:00
・場所:筑波大学東京キャンパス 607室(東京都文京区大塚3-29-1)
*教室は、建物6階にございます(建物は1棟のみです)。
・アクセスマップ:丸の内線茗荷谷駅から徒歩約6分。http://www.tsukuba.ac.jp/access/bunkyo_access.html
・スケジュール
10:30-11:40 登壇者による発表
1.八木規子(聖学院大学)「エスノグラフィーの特徴とは:定性的研究手法という見地から」
- エスノグラフィーの定義、経営学とエスノグラフィー、エスノグラフィーの特徴、その貢献、エスノグラフィーの進化、について発表があった。
2.朱藝(筑波大学)「エスノグラフィーで見る企業文化:学者の視野から」
- 事例をもとに、エスノグラフィーと経営学の違い、エスノグラファーとして得るだろうスキルセットに関する話だった。
3.大戸朋子(KDDI総合研究所)「企業研究所×エスノグラフィ」
- 企業研究所におけるエスノグラフィの現状とその課題、伝統とビジネス面でのエスノグラフィの違い、について議論した。
4.鈴木麻美子(日本総合研究所)「人間中心デザインのためのエスノグラフィックアプローチ」
- なぜ人間中心デザインになったのか、日本や世界における動き、イノベーションへの貢献、について発表があった。
11:15~13:00 参加者との自由討論
エスノグラフィーに関してもっている疑問や実務における導入プロセスにおける課題をご共有いただきました。
・参加費無料
・事前登録制
より多くの方々からご意見をいただくため、人数制限をさせていただいております。
恐れ入りますが、事前登録をお願いいたします。
【イベント後のリフレクション】
「手法」にとどまらないエスノグラフィーってなんだろう?エスノグラフィーという「思想」「思考」みたいなものってあるのだろうか?
エスノグラフィー的思考で大切であろう2つのポイント:
1, 当たり前に見える現実を異化すること
- Organizational Ethnographyの授業で最初に出た課題が、観察に行く際、自分が外国人あるいは宇宙人になったつもりで当たり前の世界(スーパーのレジとか)を観察してくる、というものだった。自分を異化することで、当たり前の世界がどう見えてくるか、これがエスノグラフィーの基本というわけだ。
- 昨日のビジネス界へのエスノグラフィーの応用を聞いていると、「顧客・ユーザーという名の宇宙人に、企業の人間が会いに行く」というふうにも思える。自分たち(企業人)では、自分たちの製品や製品を使っている文脈を宇宙人のような視点で見ることは困難なので、顧客・ユーザーという、時々宇宙人みたいになる人たちを観察に行く、というような感じだろうか。
2. 観察対象への敬意を持つこと
- 二つ目は、デザイン思考のいうEmpathizeと重なるかもしれない。エスノグラフィーでいうと、自分(観察者)が宇宙人になって観察に出かけていく先の人々に対して、respectを忘れない、というmindsetにつながるのかなと思った。エスノグラファーは、観察に出かけて行く先のことは何一つ知らない宇宙人として、暮らし方を見せてくれる相手のひとびと、その生き方を否定しない、あるがままに観察する、というmindsetを忘れてはいけない、というのが教科書で強調されたことだろう。
⇒この指摘は、今後人類学がもっともっと実務とくっついていくと、顕在化していく問題なのではないか?エスノグラフィーとはなんだろう?という問いは、ひいては人類学とは何か?という確たる部分への問いかけにもつながっているのではないだろうか。
⇒現在のビジネス界において、「何のためのビジネスなのか?」といった本質的なところを見失っているように感じる。利益、成果主義や数値を追い求める風潮が、必ずしも成果につながるわけではないことを密かに感じている人も企業の中にいるように感じる(特に、人事に関わるマネージャー、営業職、グループを統括するマネージャーに多くいると思う)。
Workshop Business × Ethnography
We will host a workshop “Business × Ethnography” in Japanese by inviting both academia and industry to facilitate ethnographic approaches in business. We particularly welcome working professionals who are interested in / planning to introduce ethnographic method in their business or those who have faced challenges in this process.